アイアンキング(TBS系)――高度成長の余熱と"地域性ヒーロー"の時代(要約・約400字)
『アイアンキング』は1972年の特撮作品だが、1975年前後の再放送でも人気を保ち、70年代特撮の特徴を体現する作品として位置づけられる。巨大ブランドのウルトラシリーズほどではないが、勧善懲悪の明快な物語、巨大ヒーロー、地域色の強い怪人、日本各地でのロケ撮影など、当時の少年向けテレビ文化の定型を示していた。背景には高度経済成長の余熱があり、新幹線や高速道路が伸び、社会が近代化する一方で、公害や都市過密といった不安要素も存在していた。特撮ヒーローは大人の世界の複雑さから距離を置き、子どもたちに安心できる正義を提供した。とくに地方ロケの多さは、まだ全国が十分に結ばれていない時代に各地の風景を家庭へ運ぶ役割を果たし、テレビが家から旅する装置として機能していた証でもある。�
�ヒット作ではないが、こうした中規模作品が積み重なったことこそが70年代のテレビ文化を豊かにし、再放送期にも親しまれ続けた理由だった。
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