Tuesday, December 16, 2025

ディコンシステム土砂改良の時代背景と技術の姿 2000年頃

ディコンシステム土砂改良の時代背景と技術の姿 2000年頃
一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけて日本の建設分野では現場で発生した土砂をできる限り再利用し処分量を減らすという考え方が急速に広まった。背景には建設残土の処分地不足産廃処理費の高騰環境負荷低減の要請循環型社会形成推進基本法の成立があった。従来は含水比の高い粘性土や粒度の偏った砂質土が不適土とされ処分場へ運び廃棄されていたがこの状況は経済的にも環境的にも限界を迎えていた。

こうした転換期に登場したのがディコンシステムと呼ばれる土砂改良技術である。セメント系固化材石灰高炉スラグ微粉末などを現場で自動計量し掘削土と混合することで強度透水性変形特性を調整し盛土路体基礎材として再利用できる土質材料へと変換する。ミキサやインラインミキシング装置により連続かつ均質な改良が可能となり従来廃棄物だった発生土を現場資源へと置き換える点で画期的であった。

二〇〇〇年代には環境配慮型土木が主流となり六価クロム溶出抑制やpH管理など環境影響を抑えた固化材の開発が進んだ。さらに改良土の再利用先を限定するリスク管理手法が導入され品質と安全性の両立が図られた。また発生土を現場内で処理することで運搬量が減少しCO2排出量と処分費の削減にも寄与した。河川港湾ダムなど堆積土の再利用にも応用されインフラ維持管理時代の環境調和技術として位置づけられた。

ディコンシステム土砂改良は発生土を廃棄物とみなす旧来の発想を改め資源循環型社会を実現する技術として当時重要な役割を果たした。

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