2024年8月21日水曜日

4-環境技術まとめ-1994年11月



1. シュレッダダストの処理技術
廃車や家電製品の処理で発生するシュレッダダストは、有害物質を含む場合が多く、その処理が問題となっています。新たに制定された法律により、安定型処理場での埋め立てが禁止され、管理型処理場での埋め立てが義務づけられました。これに伴い、減容化や選別技術の開発が進められており、焼却や乾留によるダストの処理が検討されています。特に、プラスチックの再利用を促進する技術が注目されています。

2. 太陽光発電のコスト削減技術
オーストラリアのニュ ーサウスウェールズ大学のマーチン・グリーン教授が開発した新技術により、太陽光発電のコストが今後5~10年で最大80%削減される可能性があります。この技術は、太陽電池にレーザー光線で溝を刻み、電動性物質を埋め込む方法です。実用化されれば、石炭よりも安価に太陽エネルギーを利用できると期待されています。

3. 廃プラスチックの油化技術
通産省は、廃プラスチックの熱分解油化技術を高度化する取り組みを進めています。この技術は、塩化ビニールなどの有害な物質を含むポリマー樹脂を熱分解し、触媒を使って油化するものです。この技術により、無公害化が図られ、処理速度も向上します。さらに、処理後の残留物を減らすための技術開発も行われています。

4. ゴミ発電の技術開発
ゴミ発電は、ゴミ焼却炉で発生する高温・高圧の蒸気を使って発電する技術です。従来の技術では発電効率が低かったため、新たな技術開発が進められています。特に、高温・高圧化やガスタービンとの組み合わせにより、発電効率を20%以上に向上させるスーパーゴミ発電が注目されています。クボタや三菱重工業がこの分野での技術革新を進めています。

5. CO2を利用した肥料開発
関西電力総合技術研究センターは、火力発電所から排出されるCO2を植物性プランクトンと混ぜて肥料として再利用する研究を行っています。特に、ハプト藻を使用した土壌改良が有効であることが確認されており、この技術は農業の持続可能性と環境負荷の軽減に貢献すると期待されています。

6. 非水田使用農薬の規制強化
環境庁は、非水田使用農薬が河川などに溶け出し、人体に影響を及ぼすことを防ぐため、登録保留基準を設定する計画を進めています。特に、除草剤や果樹園で使用される農薬が対象となり、1996年以降、順次規制が強化される予定です。これにより、農業分野での環境保全と持続可能な農業の実現が期待されています。

7. 電気自動車の技術開発
東京R&D社は、スポーツタイプの電気自動車「IZA」の開発を進めています。電気自動車は、環境に優しい低公害車として期待されています。充電走行距離の改善やエネルギー効率の向上が進められ、電力会社や地方自治体が導入を進めています。このような技術開発は、電気自動車市場の拡大と普及に貢献しています。

8. 都市温暖化対策の模擬実験
大成建設技術研究所が行った模擬実験では、関東地方の緑地面積が増加することで、東京湾からの冷たい海風が都市部の温暖化を抑制する効果が確認されました。特に、夏の暑い日が続いた際に、地表面温度の上昇が抑えられることが示され、都市緑化と自然の力を活用した温暖化対策の重要性が浮き彫りになりました。

9. リサイクルに向けた新しいビジネスモデル
通産省は、「リサイクルマイン・パーク事業」として、シュレッダダストに含まれる有価物を回収し、重金属で汚染された土壌を修復する技術を計画しています。これにより、シュレッダダストの再利用率を高め、環境負荷を低減することが期待されています。官民合同で技術開発を進め、公共投資の一環として進められています。

10. ゴミ発電の普及促進
ゴミ発電は、新しい環境ビジネス市場として注目されています。通産省は、2000年までに200万キロワットの発電を目指しており、プラスチック廃棄物を固形燃料化する技術の普及や、発電効率の高い廃棄物発電技術の開発を推進しています。地方自治体への導入を促進するための助成や支援体制も整備されつつあります。

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