ブレント・スパー貯蔵施設の処分方法公募-1995年10月
北海油田に設置されていたブレント・スパー石油貯蔵施設(高さ約140メートル、重量約1万4600トン、直径29メートル)は、シェル・グループが所有し、年間約30万バレルの石油を貯蔵していました。1995年、英国政府はこの施設の北大西洋への海中投棄を許可しましたが、約1000トンの残留油が含まれていることが判明し、環境保護団体グリーンピースやドイツ、ノルウェー、デンマークなど欧州諸国から強い反発を受けました。
ドイツでは約5万人が抗議活動に参加し、ノルウェーではシェルのガソリンスタンドに対する不買運動が展開され、シェルの売上は最大40%減少するなど、企業にとっても重大な打撃を受けました。この事態を受け、シェルは投棄計画を一時中止し、施設をノルウェーの海域に係留しました。
この事件は、環境保護活動が世界的に注目される契機となり、企業の環境責任に対する社会的意識の高まりを象徴しました。特にブレント・スパー事件は、国際社会が環境問題に対して協調して行動する重要性を示し、国際的な環境保護活動の象徴的な出来事となりました。また、海洋への投棄が環境に与える影響が強調されたことで、以後の石油業界における廃棄物処理の基準や規制が大幅に厳格化されるきっかけとなりました。
さらに、企業と社会の関係においても、ブレント・スパー事件は「企業の社会的責任(CSR)」の重要性を強調し、以降、多くの企業が持続可能な環境対策を戦略に組み込むようになりました。この事件は、環境保護の観点からもビジネスの在り方を大きく変える歴史的な転換点となりました。
No comments:
Post a Comment