Monday, March 3, 2025

西麻布血闘録――平成十九年、東京暗闘の記録

西麻布血闘録――平成十九年、東京暗闘の記録

平成十九年(二〇〇七年)二月、東京都港区西麻布で暴力団幹部が射殺される事件が発生した。この事件は、関西を拠点とする指定暴力団・山口組が東京進出を図る中で、関東の有力組織である住吉会との間で生じた緊張の中で起こった。山口組は、東京の暴力団組織である国粋会を傘下に加え、関東での勢力拡大を進めており、これにより住吉会との間で縄張りや利権を巡る摩擦が生じ、抗争が激化していた。

二〇〇七年二月五日深夜、西麻布の高級クラブ付近で銃声が鳴り響いた。撃たれたのは山口組系国粋会幹部であり、彼はその場で死亡した。この襲撃は、住吉会系の組員による報復と見られ、東京の裏社会に大きな波紋を広げた。

事件の約十日後、国粋会会長である工藤和義が自宅で拳銃自殺を遂げた。彼の死は、山口組の東京進出に伴う組織間の複雑な力関係や、内部での葛藤が背景にあったとされる。東京の縄張りをめぐる駆け引きが続く中で、工藤の死は山口組の勢力拡大の行方に影響を及ぼすこととなった。

この一連の事件を受け、警視庁は暴力団勢力の沈静化を図るため、関係者の取り締まりを強化。各組織は慎重な動きを見せたものの、東京の裏社会における均衡は不安定なままとなった。西麻布での銃撃戦は、単なる局地的な抗争ではなく、日本の暴力団勢力図が大きく変わりつつあった時代の象徴的な事件となったのである。

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