浚渫土固化圧送工法の時代背景と技術の姿 2000年頃

浚渫土固化圧送工法の時代背景と技術の姿 2000年頃
一九九〇年代末から二〇〇〇年代にかけて日本の港湾は老朽化と大型船対応の遅れが課題となり航路や泊地の浚渫が全国で必要になっていた。同時に浚渫土を海洋投棄する従来の方法は環境規制が強化され都市部では陸上処分地も逼迫し浚渫土を資源として再利用する技術が求められた。こうした状況を背景に登場したのが浚渫土固化圧送工法である。この工法では浚渫土を固化材と混合し流動化固化土として圧送し護岸裏込材や埋立地の造成道路盛土などに再利用する。固化により含水比の高い浚渫土が扱いやすくなり悪臭や飛散などの問題も低減された。従来は廃棄物だった浚渫土を資源に変える点で画期的であった。二〇〇〇年代には環境配慮型の港湾整備が進みこの工法は環境省と国土交通省の双方に評価され運搬距離短縮や
CO2排出削減などの効果も報告された。さらに河川や湖沼の底泥の改良にも応用が進み連続施工が可能なため周辺への負荷が少ない施工方法として注目された。浚渫土固化圧送工法は作る港から維持し環境と調和する港への転換期に登場した技術であり港湾インフラの時代的な変化を象徴する存在となった。