Monday, October 14, 2024

早稲田大学のディーゼル脱硫技術 - 2002年2月

早稲田大学のディーゼル脱硫技術 - 2002年2月

早稲田大学の桐村光太郎教授らの研究チームは、好熱性細菌を利用した革新的なディーゼル脱硫技術を開発しました。この技術は、硫黄分を70~80%除去でき、特に難分解性のジベンゾチオフェン(DBT)という化合物を細菌が選択的に分解する仕組みです。従来の白金系触媒を使用した化学的な脱硫方法では、硫黄濃度を300~500ppmまでしか低減できませんでしたが、この細菌技術により、50ppm以下まで低減することが可能です。

この技術の大きな特徴は、処理温度が従来の触媒法の300~400℃に対し、細菌を用いることで60~70℃の低温で硫黄除去ができる点です。これにより、エネルギーコストを50%以上削減することが期待されています。

この技術は、硫黄分の高い原油(1000~2000ppm)を多く扱う新日本石油や出光興産などの石油精製企業にも適用可能で、低硫黄化ディーゼルの生産コストを約30%削減できると見込まれています。また、この技術は、東京都や大阪府などの大都市圏で導入される2004年の硫黄濃度50ppm以下という排出規制に対応し、環境負荷を大幅に削減します。

将来的には、川崎市や千葉市の工業地帯の石油精製施設での導入が検討されており、排ガス中の硫黄酸化物(SOx)の排出を年間10万トン以上削減することが期待されています。この技術は、日本の石油精製業界全体に大きな環境技術の進歩をもたらすとされています。

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