長沢節モードセミナー ― 戦後ファッション教育と表現者のゆりかご(1970年前後)
長沢節(ながさわ・せつ)は、戦後日本のファッション界に独自の存在感を示したイラストレーターであり、その私塾「長沢節モードセミナー」は1954年に東京・青山で始まった。高度経済成長の波に乗る1970年前後の東京では、若者文化とサブカルチャーが急速に拡大し、ファッションが自己表現の手段として注目されていた。そのなかで同セミナーは、美術大学とも服飾専門学校とも異なる自由な教育空間として機能していた。重視されたのは「絵の技術」よりも「感性」と「線の美しさ」。生徒たちは観察力と個性を鍛えられ、ファッションイラストだけでなく、舞台美術、女装文化など多彩な表現へと関心を広げた。のちに文化人として名を残す卒業生も多く、女装家「こけし」もこのセミナーの出身者の一人である。彼女/彼�
��新宿で披露した独自の装いと美意識は、このセミナーで育まれた感性の延長線上にあった。長沢節モードセミナーは、戦後都市文化とモードが交差する場所として、多くの表現者にとっての原点であり続けた。
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