Wednesday, August 27, 2025

環境 共生の住まいを求めて ― 認定制度創設の歩み 1999年

環境 共生の住まいを求めて ― 認定制度創設の歩み 1999年

1990年代の日本では、住宅政策と環境対策が交わり始め、省エネルギーや高断熱、高気密といった住宅性能の向上が重要課題となっていた。高度経済成長期に大量供給された住宅の老朽化や、都市部でのヒートアイランド現象、大気汚染などが顕在化するなかで、建設省系の財団法人は「環境共生住宅認定制度」を創設した。これは、省エネ性能や耐久性、バリアフリー、立地条件や緑化率を必須基準とし、屋上緑化や雨水利用、自然エネルギー活用といった提案型設計も評価対象とするものであった。

当時の関連技術としては、まず断熱材や窓性能の向上が挙げられる。グラスウールや発泡系断熱材の普及に加え、複層ガラスや樹脂サッシが導入され、冷暖房負荷を低減する技術が進展した。さらに、省エネ型給湯器や高効率ガス・石油機器、太陽熱温水器も住宅分野で活用され始めた。また、自然採光や自然通風を生かすパッシブデザインが注目され、設計段階から環境性能を高める工夫がなされた。

緑化技術も重要であった。屋上緑化は都市部の温度上昇を抑制し、雨水貯留による都市型洪水の軽減効果も期待された。加えて、雨水利用システムや中水道の導入は水資源の有効利用に資するものであり、循環型社会への転換を象徴していた。

さらに、1990年代後半には太陽光発電(PV)の住宅導入が本格化し始め、余剰電力を系統に逆送電する制度設計も議論されていた。これらの技術は「環境共生住宅」の評価項目として取り込まれ、制度の意義を支える柱となった。

制度の普及には、認定だけでなく金融優遇や自治体の助成制度と連動することが課題であったが、当時の国際的潮流――1997年の京都議定書採択――を背景に、省エネと環境負荷低減を住宅分野で推進する先駆的な取り組みとして位置づけられた。「環境共生住宅認定制度」は、住宅を「暮らしの器」から「環境と人が共生する場」へと変える技術と制度の結合点であったといえる。

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