見えざる廃棄物—闇に埋もれた環境犯罪の実態(1990年代~2020年代)
2023年度の不法投棄の現状として、全国で100件が確認され、前年度より34件減少した。しかし、未処理の不法投棄事案は2876件に上り、前年より21件増加している。環境省の報告によると、未処理の不法投棄量は1011.2万トンに達し、前年より2.3万トン減少したものの、依然として大きな課題となっている。環境省は、監視活動の強化を進め、違法投棄の早期発見と拡大防止に取り組んでいる。
過去の主な不法投棄事件として、青森・岩手県境で発生した大規模な事案がある。1990年代から2000年代にかけて、焼却灰や汚泥、医療系廃棄物、廃油入りドラム缶など約87万立方メートルの廃棄物が不法に投棄された。この事件は1999年11月に発覚し、岩手・青森両県警の合同捜査により問題が明るみに出た。撤去作業は2013年12月に完了し、総量115万トンの廃棄物を処理するために約480億円が費やされた。再発防止策として、監視員の配置やヘリコプターによる監視強化、廃棄物処理法の厳格化が進められた。
また、香川県豊島では1970年代から1990年代にかけて、約92万トンもの産業廃棄物が不法投棄され、大きな環境問題となった。土壌や地下水の汚染が深刻化し、住民の健康被害が懸念されたため、2000年代に入ってから大規模な撤去・浄化作業が行われた。この対策には約700億円が投じられた。
静岡県浜松市では2007年に約1万トンの建設廃材が不法投棄された。この事案による土壌・地下水の汚染を防ぐため、自治体は監視カメラの設置や住民による監視活動を強化し、違法行為の抑制を図った。
近年では、医療廃棄物の不法投棄も問題視されている。2024年には、ある廃棄物処理会社が胎盤や血液を含む感染性廃棄物を適切に処理せずに放置していたことが発覚した。さらに2022年には、産業廃棄物収集業者が許可を得ずに汚泥を山林へ不法投棄する事件も発生した。これらの行為は廃棄物処理法に違反しており、最大で5年の懲役または1000万円以下の罰金が科せられる。
不法投棄を防ぐために、監視体制の強化が進められている。特に、監視カメラの設置やパトロールの増強に加え、ドローンを活用した空撮監視が導入されている。また、罰則の厳格化も進み、企業や個人による不法投棄には高額な罰金が科せられ、実刑判決の件数も増加している。さらに、住民の監視活動を促進するために、通報制度が充実し、環境教育を通じた啓発活動が行われている。
環境修復の面では、汚染された土壌や地下水の浄化技術が導入され、原状回復のための対策が取られている。例えば、北九州市ではリサイクルポート計画を活用し、不法投棄された廃棄物の適正処理を進めている。
関連情報
環境省「産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和4年度)」
https://www.env.go.jp/recycle/ill_dum/santouki/index.html
青森県「全国の大規模不法投棄事案の概要」
https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kankyo/hozen/files/archive-link-zenkokujian.pdf
香川県「豊島産業廃棄物不法投棄事件の対応」
https://www.env.go.jp
沖縄県「不法投棄実態調査報告書」
https://www.pref.okinawa.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/004/138/h28huhoutoukizittaityousa.pdf
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