FRP廃船の不法投棄問題の歴史 - 1994年から2020年代まで
1994年、全国の海岸や港湾でFRP(繊維強化プラスチック)製の廃船が不法投棄される問題が深刻化した。全国調査では、確認された1573隻の廃船のうち40%がFRP船であり、耐久性の高さから自然分解されず、長期的な環境影響が懸念された。特に、漁業関係者や海洋環境保護団体から、景観の悪化や漁場への影響が指摘された。この状況を受け、海上保安庁は1996年からFRP廃船の不法投棄取り締まりを強化する方針を発表し、警告シールの貼付や適正処理の指導、罰則の適用を導入した。
2000年代に入ると、国土交通省や環境省はFRP船の適正処理に関する対策を推進し、リサイクル技術の開発が進められた。2005年11月には一般社団法人日本マリン事業協会(JBIA)が「FRP船リサイクルシステム」の運用を開始し、FRP廃船のセメント原料化などの処理が進められた。しかし、処理費用の高さから不法投棄は依然として問題視され、環境省の2003年の報告では、新たに確認された不法投棄廃船884隻のうち約78%がFRP船であり、プレジャーボートでは93%がFRP製であった。
2020年代に入ると、FRP船のリサイクルシステムは継続的に運用され、地域ごとに定期的な回収受付が行われるようになった。FRP船の適正処理として、セメント焼成によるリサイクル技術が標準的に活用され、国から正式に認められた。また、FRP船の廃棄方法に関する情報提供が進み、所有者はFRP船リサイクルシステムの「登録販売店」を通じて適正な廃棄処理ができるようになった。
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