影の光 輝くドン(昭和20年8月)
1945年8月6日、広島に落とされた原子爆弾は、閃光と爆音の一瞬で都市を消し、人々の身体と心を焼き尽くした。「ビカドン」と呼ばれたのは、子どもたちが光と衝撃音を擬音化した言葉であり、戦後の日本に残った最も素朴で恐ろしい記憶の形だった。被爆者は、爆風で吹き飛ばされ、瓦礫の中をさまよい、数日後に髪が抜け始める。放射線障害による脱毛や出血、白血球減少は、のちの研究で確認された現象である。
1974年当時、戦後30年を迎えた社会は、沈黙していた被爆体験を言葉として掘り起こし始めていた。原爆を「国家の悲劇」ではなく、「個人の身体に宿る終わらない爆発」として描くこの証言は、時間を超えて続く痛みを訴えている。ビカドンとは、爆発の音だけでなく、戦争が人間の内部で繰り返される記憶の音でもあった。
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