Friday, May 2, 2025

黒い海に沈む名――日英における身元情報搾取とダークウェブの深層(2012〜2024年) 2025年05月02日

黒い海に沈む名――日英における身元情報搾取とダークウェブの深層(2012〜2024年) 2025年05月02日

2012年、英Telegraph紙は、イギリスがヨーロッパでも最悪レベルの身元詐欺被害を抱えていると報じた。ロンドン・イーストハムでは全国平均の7倍にのぼる被害が確認され、Cifasの発表によれば同年だけで12万件以上の詐欺が報告された。とりわけ個人情報が盗まれた被害者が他国で企業を設立されたことになり多額の税金を請求されるような事例も現れた。これらの背景にはフィッシング、データベース侵入、マルウェアなどを通じて集められた情報がダークウェブ上で売買されているという現実がある。

イギリスと同様に日本でもその深い闇が明らかになってきた。2019年には日本国民の約4割がサイバー攻撃の被害に遭い、2023年には主要製造業30社の機密情報がダークウェブで流通。2024年には大手出版社や水道関連企業がランサムウェア攻撃に見舞われ従業員や顧客の個人情報がごっそりと盗まれている。こうした流出情報の中にはマイナンバー、メールアカウント、クレジットカード情報、銀行口座まで含まれていた。

現在、ダークウェブでは盗まれた日本人の個人情報がパッケージとして出回り数千円程度で取引されている。生成AIを悪用して本人になりすます手口も横行し声や文章を模倣して口座から金を引き出す新手の詐欺も報告されている。

対策としては複雑なパスワードの使用、定期変更、多要素認証の導入、セキュリティソフトの活用が基本であり、加えて信用情報の監視やSNSでの情報発信の節度も求められている。また、企業においては従業員教育、脆弱性管理、ダークウェブ監視サービスの導入が急務となっている。

かつては裏社会の象徴だった"闇市場"は、今や誰の背後にも忍び寄る日常的脅威となった。日本とイギリス、その違いを超えて、個人情報が貨幣のように流通する現代において、私たちは自己防衛の盾を常に磨き続けなければならない。

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