声なき者たちの地図――伽藤睦美と環境NGO総覧の誕生(1995年)
1990年代、バブル崩壊の混乱のなかで、日本は環境問題への本格的な対応を迫られていた。公害の記憶が薄れ始めた一方、地球温暖化や廃棄物の増加、生活排水による水質悪化など、新たな時代の課題がのしかかっていた。そのような時代に、国家や企業に代わって、草の根から環境を支えようと立ち上がった人々がいた。伽藤睦美――彼女は全国の環境NGOをまとめ上げ、『環境NGO総覧』を刊行するという試みを実現させた。
その総覧には、リサイクル活動、里山の保護、脱原発運動、海岸の清掃活動など、名もなき市民たちの営みが詰まっていた。登録数は4500団体以上。伽藤はそれを単なる目録ではなく、"環境を守るための全国地図"として構想し、すべての自治体に配布。市民と行政の間に見えない橋を架けたのである。
「小さな声が国を動かす」。その理念は、行政批判ではなく共働への誘いとして、制度設計にまで影響を及ぼした。伽藤の仕事は、静かな革命だった。
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