環境 青き海を取り戻す戦い ― 水質総量規制強化の軌跡 1999年
1990年代後半、日本の内湾は深刻な水質汚濁に直面していた。東京湾や伊勢湾、瀬戸内海では、産業排水や生活排水の増加によりCOD値が高止まりし、窒素やリンの過剰流入が富栄養化を招いて赤潮や青潮が頻発、漁業や生態系に大きな被害をもたらした。こうした状況を受けて環境庁は第5次総量規制を策定し、従来のCODに加え窒素・リンを新たに規制対象とした。これにより化学工業や食品加工、畜産、下水道事業など幅広い分野が対応を迫られることになったが、同時に技術革新を促す契機ともなった。
下水処理場では脱窒処理や生物学的リン除去が進展し、A2O法やオキシデーションディッチ法による高度処理が普及した。さらに凝集沈殿法や膜分離技術も導入され、再利用水の確保や循環利用に役立った。産業界でもリン回収技術が実用化され、肥料として再利用する試みが広がり、廃棄物削減と資源循環が同時に進展した。
背景には1992年リオ地球サミットでの持続可能な開発の合意や、1997年京都議定書の採択があり、国際的な潮流が国内規制を後押しした。1999年の規制強化は、日本の環境政策を「量の削減」から「質の改善」へと転換させる象徴的施策であり、沿岸海域再生と循環型社会への布石となった。
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