海を汚さぬ焼酎づくり――大分県宇佐市・2000年
2000年前後、日本では環境保全をめぐる規制が急速に強化され、廃棄物の海洋投棄は国際的にも国内的にも厳しく制限される方向へと進んでいました。ロンドン条約改正や国内法整備により、有機性廃棄物の海洋処分は原則禁止とされ、焼酎メーカーにとって製造過程で発生する高濃度有機物を含む廃液処理が重大な課題となります。この廃液をそのまま投棄すれば海洋汚染の原因となるため、陸上処理技術の確立は急務でした。
大分県宇佐市の三和酒類は、焼酎「いいちこ」で知られる国内有数のメーカーです。同社は本来2000年8月から予定していた廃液全量陸上処理計画を、規制強化の流れを受けて前倒しで実施しました。従来一部海洋投棄されていた廃液を完全に陸上処理し、発酵大麦エキスとして食品利用するほか、家畜飼料や肥料への転用、さらにメタン発酵によるバイオガス化など、多様な再資源化ルートを築きました。
この取り組みは単なる規制遵守にとどまらず、地元農業や関連産業の活性化にも寄与しました。食品・飼料メーカーとの協力で資源循環を強化し、得られたバイオガスは自社エネルギーとして再利用。化石燃料依存低減と環境負荷軽減を同時に達成しました。当時、食品廃棄物や製造副産物の再利用による「ゼロエミッション」は企業競争力の象徴でもあり、この事例は地方発の先進モデルとして全国的な注目を集めました。
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