急拡大した環境装置市場のうねり 2003年前後
2003年前後の日本ではバブル崩壊後の長い停滞期を抜けつつあり、製造業を中心に設備投資の回復が見え始めていた。またダイオキシン特別措置法や産業廃棄物処理基準の厳格化など、一九九〇年代末から続く環境規制の強化が本格化し、自治体や企業は従来の焼却炉や排ガス処理設備を更新せざるを得ない状況に置かれていた。こうした政策的圧力と設備更新需要が重なり、環境装置市場は拡大した。
二〇〇三年二月の環境装置受注総額が前年同月比九二パーセント増の八百六十五億円という異例の伸びを示したのは大型熔融炉案件が市場を押し上げたためである。新日本製鉄がシュレッダーダスト処理向けに導入した大規模熔融炉、荏原がマレーシア向けに受注したガス化熔融炉は難処理物の無害化や最終処分量削減を求める政策潮流と合致し、環境装置産業の存在感を高めた。
大気汚染防止装置が二十七パーセント増、水質汚濁防止装置が五パーセント増と堅調だったのは国内設備更新に加え、アジア地域の工業化が進み日本製環境装置の需要が拡大したためである。一方騒音防止装置が六十五パーセント減と大幅に落ち込んだのは公共事業の縮小が影響し、道路や鉄道関連の騒音対策設備が減少したことを反映していた。
この時期の環境装置市場の急成長は規制強化、廃棄物処理の高度化、アジア市場の需要拡大という三つの流れが同時に作用した結果であり、環境技術が産業基盤として不可欠な存在に変わりつつあったことを示す出来事であった。
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