ささやく刻の二重奏-社会の時間と自由の時間(1890年代)ベルクソン「時間と自由」
ベルクソンは人間が生きる時間には二つの層があると述べた。ひとつは社会生活に不可欠な外的時間で時計によって均質化され分割可能な形で共有される。この時間は予定調整や共同作業を成り立たせ制度を機能させるために必要だが意識の質や感情の揺らぎを切り捨てる。一方ベルクソンが自由論の基盤とした内的時間である持続は過去の経験が現在に浸透し情動や記憶が重なり合いながら進む分割不可能な時間であり点の集合ではなく全体としての連続性をもつ。ここから生じる行為は外的因果で説明できない創造的な出来事となり自由とは持続の深部で生じる質的な飛躍である。現代の神経科学や心理学でも記憶期待情動が折り重なる意思決定過程や主観時間の伸縮が確認され社会的時間と内的時間の不一致が示されている。自
由とは計測可能な時間には収まらず内奥を流れる持続のうねりの中で理解される。
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