路上に帰る芸――小沢昭一とフォークゲリラの幻影(1970年前後)
1970年前後の新宿西口広場に、ギターを手に歌う若者たちがいた。フォークゲリラと呼ばれた彼らは、戦争に抗い、体制に抗い、自らの言葉と旋律で社会と向き合った。そこに小沢昭一は、芸の原点を見る。彼は語る。「門付けして歩けばいいと思った」と。
門付けとは、かつての大道芸人が家々をまわり、芸を見せて銭を得た行商のような表現形態。制度に守られぬその姿に、小沢は芸の魂を見た。テレビや劇場からこぼれ落ちる、名もなき表現者たちの熱。それが街角に宿ることへの憧れが、彼の言葉の奥にある。
芸とは制度の中にあるものではなく、むしろ制度からはみ出た場所、つまり街頭や日々の暮らしにこそ本来の息吹がある。フォークゲリラたちの歌声に、小沢は芸の再生を見たのである。
芸が再び民衆のものとなるためには、舞台の上より、舗道の埃を踏む覚悟がいる。小沢昭一のその一言には、芸能の未来への祈りと危機感が込められていた。昭和という時代の、光と影が交錯する広場にて。
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