芸人が議場に立つとき――立川談志の政治という舞台(1980年前後)
かつて立川談志は、国会議員として政界の檜舞台に立っていた。だが、そこでも彼は終始"芸人"だった。「もののはずみで入った」と本人は言う。出馬理由を聞かれれば、「土地が高くて、酒がうまくて、女がきれいなところから出た」と飄々と答える。その軽みの裏にあるのは、制度より感覚、理屈より直観を信じる談志流の生き方だった。議会を休んで寄席に立ち、批判されても頓着しない。「芸と政治なら、迷わず芸を取る」と語り、六年で政界を後にした。彼にとって政治は、ネタのひとつであり、高座の延長だったのかもしれない。だがその中でも「沖縄を高校野球で優勝させたい」と言ったように、彼は政治を人々の心に届く"表現"として捉えていた。政務次官になっても、客に媚びず、政党を神格化せず、「プロは
客を失望させることがある」と断じる姿勢は、議場にあっても変わらぬ芸人の魂だった。票ではなく、沈黙と笑いで評価される場こそ、彼の舞台だった。
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