米ぬか油インキ誕生の裏話 ― 2008年12月
きっかけは2008年3月、印刷会社サンエー印刷と、教育関連企業・日能研の経営トップ同士の何気ない雑談だった。従来大豆油を用いた環境配慮型インキは日本でも広く使われていたが、原料の大豆はほとんどが輸入に頼っており、大豆油1kgのCO2排出量は輸送距離7710kmにより31.2kgに達するという計算も出ていた。こうした背景のなか、会話は「同じ植物油なら日本国内で出る米ぬかが代替になるのでは」というアイデアへとつながった。
米ぬかは玄米の約8%を占め、年間では大量に発生している。うち製油原料として使われているのは約317000トンに過ぎず、まだ未利用の可能性が高いとされた。この潤沢な資源を活用し、しかもフードマイレージの観点でも有利な国産原料として、サンエー印刷はインキメーカーのT&KTOKAと共同で「ライスインキ」を開発するに至った。
ライスインキは枝葉インキで20%以上、輪転インキでは7%以上の米ぬか油を含有。実用性能の確保とともにエコマークも取得し、日本発の地産地消型・環境配慮インキとして実用化された。その開発は短期間で完了し、まさに異例のスピード開発であった。
この物語は、企業トップ同士の一見些細な会話が、国内資源の有効活用と環境配慮という新しい価値創出へと昇華した、象徴的なケースとして語り継がれる価値があるだろう。
No comments:
Post a Comment