比良山系の風が灯す未来―JR西日本の駅舎風力発電設置と2008年の日本(2008年11月)
2008年、日本は地球温暖化対策として再生可能エネルギー導入を急務としていた。京都議定書の約束期間が始まり、国や自治体、企業がCO2削減に取り組む中、エネルギーの地産地消や分散型発電が注目されていた。特に関西電力エリアでは電力需要のピーク時対策が課題となり、省エネと再エネの両立が模索されていた。
そんな中、JR西日本は滋賀県大津市の湖西線・近江舞子駅でユニークな試みを開始した。比良山系から吹き下ろす強風「比良おろし」は、冬季に運行に支障をきたす厄介者として知られ、2006年度には運転見合わせ延べ50時間に及んだ。しかしJR西日本はこの自然の力を逆手に取り、ホームの支柱に小型風車を設置。発電された電力は駅舎内の照明などに利用され、実績を見て他駅への展開も検討されていた。
当時、地方自治体や企業の間では太陽光や小水力に比べ、風力発電の都市部利用は珍しかった。しかし気候変動への危機感とともに、こうした小規模な分散型電源はエネルギーセキュリティ向上にも寄与すると評価された。地域資源を活用したこの取り組みは、風力が"災害"から"資源"へと転換する象徴的な事例となった。
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