**変わりゆく潮 1993〜2007年**
2000年代半ば、日本沿岸では温暖化の影響が鮮明になりつつあった。和歌山県紀南地方の海では、黒潮の変動と海面水温上昇により、かつて豊富だったマサバが減り、暖海性のゴマサバが勢いを増す。市場価格の変動や漁法の転換は避けられず、漁業者は経済的・技術的対応を迫られた。青森県では寒流系のマコンブの藻場が縮小し、「磯焼け」が広がった。大間沖でも寒流系海藻の減少が進み、漁場環境の質が変わっていった。瀬戸内海では冬期に赤潮が発生し、これまで低水温期に少なかったプランクトンの異常増殖が見られる。養殖業には深刻な脅威であり、背景には温暖化に加え、富栄養化や海流停滞、降水パターンの変化が絡み合っていた。1993年から2007年にかけ、日本は京都議定書発効を経て温室効果ガス削減が国際課題と
なったが、漁業現場ではすでに海の変化が日常の現実として迫っていた。
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