卸電気事業(電力会社に電気を供給する事業)の規制緩和に引き続き、2000年3月からは電力小売りの部分自由化がスタート。
電力販売に大手商社、外資系企業などが参入し始めた。
磐石ともいえた電力会社の地域独占体制が崩れようとしている。
とはいえ、巨大な経営基盤を持つ電力会社に対抗する新規参入が少ないのも事実。
電力会社に送電線の利用料金を支払う必要があるうえ、売り先の確保など課題も多いからだ。
本当の意味での競争が始まるのか、懐疑的な見方も強い。
そうした中、独自のノウハウで電力会社に勝負を挑もうとするベンチャー企業が現れている。
その名も株式会社ジェネレーションシステムを利用した売電事業にチャレンジする。
飯島勝三社長に話を聞いた。
コージェネレーションの先駆け
飯島社長はコージェネレーションではまったくの新参者ではない。
それどころかむしろ草分けといっていい。
なにを隠そう国内第1号のコージェネレーション導入は飯島さんの手によるものだ。
明治大学工学部在学中に送配電光学を専攻。
その頃から車のエンジンに発電機をドッキングさせ電気を供給できないかとの構想があり、当時ドイツで実用化され始めていたコージェネレーションを見学にいったりもした。
卒業後、プリント基盤メーカー、建設会社を経て84年に独立。
「独立するならば大学時代の研究テーマと決めていた」飯島さんは、迷わず当時、常用自家発電と呼ばれていたコージェネレーションヘ向かう。
群馬県高崎市にて資本金500万円で三豊エンジニアリングを設立した。
「オイルショックの影響で電気代が2倍に跳ね上がり、世間ではプームといえるほど省エネ熱が高まっていた。
そうした中で熱効率がよく、大幅な経費削減にも結びつくコージェネレーションヘの需要は高まるに違いないとの確信がありました」早速、設計をし、発電装置などを大手自動車メーカーなどに依頼。
準備は整った。
だが、コスト削減を説明してもまともに取りあってもらえず、中には「そんなものを設置したら電力会社に叱られるよ」という人までいた。
しかし、そこで興味を持ってくれたのが建設会社時代に施工を担当していた高木病院(桐生市相生市)。
「効果が出なければ代金はいりません。
とにかく3ヵ月使ってみてください」と拝み倒し導入、88年1月から稼動した結果、当然のことながら大成功。
年間4500万円かかっていた光熱費が2000万円になったほか、冷暖房、風呂も24時間完備で、地元でも評判の病院になった。
それ以降はとんとん拍子。
評判を聞きつけた病院、工場、スーパーなどから注文が相次いだ。
設備導入により電気使用量が急にゼロになったので電力会社が慌てて事情を聞きに来たところもあったという。
創業から短期間で年商1億円に届くところまで軌道に乗った。
しかし、思わぬ落とし穴が・・・「今思えば経営者としては本当にお粗末。
知り合いの不動産会社に頼まれ手形の裏書に2回、3回と応じてしまった。
その額4億円。
もちろんそれによる支払い義務は理解していたんですが、業績も順調だし、なんとかなるさとさほど気にはしていなかった。
しかし、その不動産会社が400億の負債を抱え倒産。
ひとたまりもなかった」家や有価証券を処分、手持ちの現金と合わせ3億3000万円。
それで勘弁してもらった。
だが事業として、またコージェネレーションの可能性としては間違っていない。
だからなおさら悔しかったし、絶対に再起してやると執念を燃やした。
チャンス到来、独立系電力供給会社を設立
その後、東京の知人を頼り上京、再起を目指して昼は東光電気の現場代理人、夜は警備会社で働いていた。
そんなある日、「新聞で売電の規制緩和についての記事が載っていた。
ついに来たと思いましたね。
以前は設計、施工まででしたが、コージェネレーションシステムを理想的な形で活かし、さらに踏み込んだ事業も可能なチャンスが」持っているものは信念だけだったが、幸い、上京してから知り合った知人たちが、三豊エンジニアリング、東光電気などでの実績を買って出資してくれた。
ほとんどがサラリーマンにもかかわらず2000万円が集まり、これを元手に97年3月、独立系電力供給会社として日本電力を設立。
念願だった新たなスタートを切った。
同社の構築しようとしている仕組みは簡単にいってしまえばこうだ。
ディーゼルエンジンなど内燃機関を用いたコージェネレーションシステムを工場や病院などクライアントの敷地内などに、賃貸料を支払い置かせてもらい、そこで作った電力、熱エネルギーを買ってもらおうというもの。
クライアントと同社は、始めに設置する装置の費用、燃料代、メンテナンスといったランニングコストなどからエネルギー料金を設定、契約する。
当初の5年間は装置の償却費用などを考慮に入れ料金を設定しているが、それ以降はさらに料金を引き下げる。
つまり、装置を販売するのではなく、あくまでも売電事業。
買い手からすれば、工事費、装置費などを一切かけることなく、電力と熱エネルギーが手に入るというわけだ。
「kWh当たりの単価でみればおおむね従来の電気料金の半分になります。
ですがそれに加えて、熱エネルギーも同時に供給されますので、電気料金や重油など熱エネルギー代を合わせて、導入前に費やしていたコストの4割以上削減できる計算です」従来の電力送電システムは送電ロスなどもありエネルギー効率は30%なのに対し、コージェネレーションシステムは熱電供給でエネルギー効率は70~80%。
それをフルに活かした売電事業である。
さらに、実際のエネルギーコストだけでなく、さまざまなコスト削減効果が同時に見込める。
これまで電力会社から電力供給を受けるために必要だった高圧受電設備が不要になるほか、熱エネルギーもコージェネレーションシステムで一括供給するため、これまで複数設置していたボイラーを廃止、それぞれにかかる人件費も縮減できる。
施設ごとに異なるこまごまとした配電や熱供給のシステムを構築できるのも同社の強み。
現在導入されているコージェネレーション多くがこれまでの電力供給の仕組み、つまり高圧受電装置を介してのものであるのに対し、同社では施設の図面をつぶさに検討し配電などシステムから作りこんでいく。
これは手間がかかり、大手メーカー、あるいは装置販売という事業形態ではなかなか手が出せない領域だという。
現在契約を進めているところも合わせ、年度内にも病院2件、食肉工場1件でこの仕組みが動き出す予定。
「ターゲットとしては病院、工場、ホテルなど。
電気と熱を合わせて年間5000万円以上使っているというラインが、クライアントにしても当社の事業としても双方が満足できるところになります」年度内に6億円、来年度は一気に100億円を目指し、2003年度にも東証上場を目論む。
分散型電涸としての高いエネルギー効率と環境負荷の低減、合わせて大幅なコスト削減につながるとなれば、こうした目標も現実味を帯びてくる。
まさに今、ガリバーに立ち向おうと奮闘中だ。
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