【昭和の日本】【会話】新宿映画横丁――1977年、スクリーンの灯りの下で
「おい、今週どこ行く? 映画でも観に行くか?」
「いいねぇ。シネマ旭で『キング・コング』やってるらしいぜ。あのデカブツが暴れまわるって話だ。モーレツだな。特撮もイカしてるらしいし、見とく価値あるんじゃね?」
「おっ、それはシビれるな。でもさ、ニューシネマで『ネットワーク』もやってるらしいんだよな。アメリカのテレビ業界をブッた斬る社会派映画だってよ。ちょっとインテリっぽいし、女子に"オレは文化派"ってカマせるネタになるんじゃね?」
「お前、またそういう知ったかぶりでモテようとしてるな? そんなのより、松竹で『砂の器』やってんじゃん。あれ、推理モノで話題になってるだろ? しかも二本立てで『張り込み』もやってるらしいぜ。こっちはバリバリの刑事モノだぞ? 渋くキメるならコレ一択だろ。」
「確かに…『砂の器』は見ときたいかもな。あとさ、宝塚劇場で『十戒』の二本立てってのもあるらしいぞ。ほら、海が真っ二つになるヤツ。神様が本気出す映画な。でも三時間超えらしいし、ケツ痛くなりそうだなぁ。」
「三時間はちょっとキツイな…。それより、宝塚小劇場で『エリックの青春』と『必殺仕掛人』やってるらしいんだよな。時代劇と青春モノの組み合わせってのがナウいじゃん? ちょっと"粋"ってやつよ。」
「時代劇なら、『日本の首領(ドン)』もやってるらしいぜ。おいおい、ドンって…カタギじゃねぇ香りがプンプンするな。しかも『婦人お伝と首切り浅』と二本立て。こりゃあ、任侠モノ好きな連中がゾロゾロ集まりそうだな。」
「それもアリだけどさ、もっとスケールがデカいの見たくねぇ? 『アラスカ物語』とか『岸壁の母』の二本立てもやってるらしいぜ。アラスカの大自然と戦争の悲劇、どっちも骨太な作品っぽいじゃん? こういうの観とくと、飲み屋で"シネマ通"っぽい会話ができるぞ。」
「なるほどなぁ…選び放題じゃねぇか。でも、お前らどうせまた日活ロマンポルノ観に行くんだろ?」
「バカ、そういうのは"裏スケジュール"って決まってんだろ! さて、どれにする?」
「まぁ、やっぱり『キング・コング』か『砂の器』あたりが鉄板かね。んで、時間あったらハシゴするか?」
「決まりだな。んじゃ、新宿駅のあの喫茶店で集合な!」
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