Tuesday, March 11, 2025

利根川流域の廃タイヤ不法投棄事件 - 1997年12月

利根川流域の廃タイヤ不法投棄事件 - 1997年12月

1997年、茨城県利根川流域で発覚した廃タイヤの不法投棄事件では、約10000本の廃タイヤが主に取手市から常総市にかけての河川敷に不法投棄されました。一部の廃タイヤは増水時に川へ流出し、川岸に引っかかることで景観を損ねるとともに、水質汚染の懸念が高まりました。これらのタイヤには、雨水が溜まりボウフラの発生源となることから、蚊媒介の感染症リスクも指摘されました。

調査によれば、これらの廃タイヤは近隣の廃棄物処理業者の複数によって投棄された可能性が高いとされ、事件の背後には処理費用の高騰が背景にありました。当時、廃タイヤ1本の適正処理費用は約500円とされ、処理業者がコスト削減のために不法投棄を行ったと推測されています。特定された業者の中には、つくば市に拠点を置く処理業者「T産業」が含まれ、後に行政指導が行われました。

県当局は、不法投棄現場の撤去作業を急ぎ進め、総撤去量は約200トンに達しました。この撤去にかかった費用は約2億円で、そのうち1億円が茨城県の環境保護予算から拠出され、残りは市町村および国からの助成金で賄われました。撤去作業には専門業者が動員され、2ヶ月間で完了しました。

この事件は、利根川流域全体の環境保護活動を促進する契機となり、取手市や常総市では住民と環境団体が協力して河川敷の清掃活動を開始しました。また、この事件を受けてリサイクル法の改正が議論され、廃タイヤの適正処理を推進するための新しい指針が策定されました。

さらに、タイヤリサイクルの拡大に向けた技術開発が進み、一部の廃タイヤは再生ゴムとして再利用されるようになりました。この取り組みは、利根川流域の環境改善に加え、全国的な廃棄物管理の強化にも寄与しました。

No comments:

Post a Comment