Tuesday, March 11, 2025

日本の林業衰退と森林荒廃 - 2006年12月

日本の林業衰退と森林荒廃 - 2006年12月

日本は大量の木材輸入により、熱帯林破壊に加担しただけでなく、国内の林業を衰退させ、人工林や里山の荒廃を引き起こした。国土の約3分の2に相当する森林面積2512万ヘクタールのうち、約4割の1036万ヘクタールが人工林である。しかし、放棄された人工林では、水源涵養機能の低下、生物多様性の喪失、表土の流出や土砂崩れなどの問題が深刻化している。

このような状況を受け、2001年に森林・林業基本法が施行され、森林の環境保全を含めた復興計画が策定された。しかし、施行から5年が経過したものの、森林機能の回復や林業振興の目標は達成されていない。一定の成果が見られたのは、2000年度から始まった緊急間伐5ヵ年対策であり、これにより間伐が進められた。さらに、2005年度からは地球温暖化防止対策の一環として、森林吸収源10ヵ年対策が実施され、3年間で30万ヘクタールの間伐が計画された。

新たな基本計画では、①国内の木材供給体制の強化、②市場ニーズに対応した木材製品の開発、③バイオマス資源としての活用推進が重点施策として挙げられた。輸入木材については、2006年2月に林野庁が「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」を発表し、違法伐採木材の排除を進めるため、森林認証や流通経路の管理が求められている。

国内の林業活性化策としては、小径材の利用拡大が挙げられる。特に、1950年代に植林されたスギやカラマツが成長し、国産針葉樹の供給量が増加している。これにより間伐材の活用が進み、人工林の整備が期待される。しかし、林業従事者の減少と高齢化、山村の過疎化が進み、生産力の向上が課題となっている。2005年の農林業センサスでは、林業経営体のうち法人経営はわずか11%だが、素材生産量の44%を担っており、経営規模の集約化が求められている。

林業の生産性向上には、木材の安定供給体制の構築が必要である。西九州木材事業協同組合では、原木の集荷から集成材の製造・販売までを組織化し、効率的な流通を実現している。また、高機能林業機械の導入により、間伐材の生産コストが2~3割削減されるケースも報告されている。さらに、間伐材を活用した新建材の開発も進んでおり、岐阜県の親和木材工業は「エスウッド」という木質材料を開発し、環境配慮型の建材市場を拡大している。

エネルギー利用の面でも、林地残材や端材を活用したボイラーや木質バイオマス発電施設が増加している。将来的には、木質バイオマスのエタノール化技術の進展により、林業の新たな可能性が開かれると期待されている。森林資源を適切に活用し、持続可能な林業を確立することが、水資源の保全や生態系の維持にもつながる。

No comments:

Post a Comment