2020年代における日本と中国のリサイクル産業の動向 - 2024年8月16日

2020年代における日本と中国のリサイクル産業の動向 - 2024年8月16日

2020年代に入り、日本と中国のリサイクル産業にはいくつかの重要な変化と新たな動向が見られました。

1. 中国のリサイクル規制の強化
2020年代初頭、中国は「ナショナルソード政策」に続き、さらに厳しいリサイクル規制を導入しました。この規制の影響を受け、例えば日本の大手リサイクル企業である「DOWAホールディングス」や「JFEエンジニアリング」は、国内での処理能力を強化しました。特に、DOWAホールディングスは静岡県にあるエコシステム花垣での廃棄物処理施設の拡張を行いました。

2. 日本国内のリサイクルインフラの拡充
中国の規制強化を受け、日本は国内のリサイクルインフラの強化を進めました。例えば、「三菱マテリアル」は、栃木県にある那須リサイクル工場で電子機器リサイクルの新技術を導入し、効率的な資源回収を実現しています。また、神奈川県に拠点を置く「東芝エネルギーシステムズ」は、廃プラスチックのリサイクル技術を用いた新たな発電システムを開発しています。

3. 循環経済の推進
日本では循環型経済の推進において、複数の企業が活躍しています。例えば、「イオン株式会社」は全国の店舗でリサイクルステーションを設置し、顧客が不要になったプラスチック製品を回収する取り組みを進めています。また、「パナソニック」は、リサイクル材を利用した新製品の開発に注力しており、これにより製品の環境負荷を低減しています。パナソニックのこうした取り組みは、京都府にあるエコテクノロジーセンターを中心に行われています。

4. 国際協力と市場の多様化
中国が輸入制限を強化する中で、日本は他のアジア諸国とのリサイクル協力を強化しています。たとえば、「日立造船」は、ベトナムやタイでのリサイクル施設建設プロジェクトを進めており、これらの地域でのリサイクルインフラ整備に貢献しています。また、「住友金属鉱山」は、フィリピンでのニッケル鉱石リサイクル事業を拡大し、地域資源の有効活用を進めています。

5. 技術革新とデジタル化
2020年代にはリサイクル技術の革新とデジタル化が進みました。たとえば、「リコー」は、AIとIoTを活用したスマートリサイクルシステムを東京で導入し、オフィスからの廃棄物を効率的に回収・処理しています。また、「NEC」は、ブロックチェーン技術を活用したリサイクル資源のトレーサビリティシステムを大阪で試験導入し、サプライチェーン全体での透明性向上を目指しています。

6. 消費者意識の高まり
環境問題への意識が高まり、消費者のリサイクルへの関心も増しています。「ユニクロ」は、全国の店舗で古着回収キャンペーンを実施し、集められた衣料品をリサイクルして新たな製品に生まれ変わらせています。これにより、リサイクルの重要性を消費者にアピールし、持続可能な消費を促進しています。

これらの具体的な企業や地域の取り組みによって、日本と中国のリサイクル産業は新たな発展段階に入り、持続可能な社会の実現に向けた動きがさらに加速しています。