2024年9月21日土曜日

赤い資源と緑の資源 - 2020年代の現状

赤い資源と緑の資源 - 2020年代の現状

2020年代に入り、石炭や石油といった「赤い資源」に依存する経済は依然として大きな影響を与え続けています。例えば、中国の河北省に位置する石炭採掘地やインドのジャールカンド州では、依然として大量の石炭が採掘されており、二酸化炭素(CO2)の排出量は世界的に増加傾向にあります。特に、石油企業であるBPやエクソンモービル、シェルは2020年時点で年間数十億バレルの石油を生産しており、これが温室効果ガスの排出を加速させています。

国連の2021年報告書によると、世界の二酸化炭素排出量は2019年に約360億トンに達し、特に産業部門とエネルギー部門からの排出が大きな割合を占めました。これにより、2020年代には平均気温が産業革命前よりも約1.2℃上昇しており、2030年までに1.5℃上昇するリスクが高まっています。これが北極の氷床の融解を加速させ、シベリアの永久凍土の約15%が溶解し、膨大なメタンガスが大気中に放出されつつあります。

一方で、「緑の資源」としての生態系サービスの価値はますます注目されています。ブラジルのアマゾン熱帯雨林は世界最大の二酸化炭素吸収源でありながら、2021年には過去最悪の13,235平方キロメートルが違法伐採や火災により失われました。これにより、森林の炭素吸収能力は年々低下しています。アマゾンに加え、東南アジアのインドネシア・スマトラ島でもパーム油プランテーション拡大のために膨大な森林が伐採されています。

企業側の取り組みでは、再生可能エネルギーにシフトする動きが徐々に進んでいます。例えば、テスラは太陽光発電や蓄電池技術で急成長しており、2020年の時点で世界のEV市場の約15%を占めています。また、再生可能エネルギーの導入に積極的なデンマークの企業Ørstedは、風力発電で世界最大のシェアを持ち、2050年までにCO2排出量をゼロにする目標を掲げています。

さらに、欧州連合(EU)は2021年に「フィット・フォー・55」を導入し、2030年までに温室効果ガスの排出を55%削減する目標を設定しています。このような政策的な動きと企業の脱炭素への努力はあるものの、石油や石炭に依存する国々ではまだ進展が遅れ、世界全体で見ると、気候変動への対応は課題が残っています。

気候変動の影響で増加している自然災害も無視できません。2021年にはアメリカのカリフォルニア州でデキサメタゾーンの影響を受けた干ばつが広がり、オーストラリアでは過去最悪の森林火災が発生しました。こうした現象が世界中で頻発し、これまで以上に「赤い資源」の使い方を見直すことが求められています。

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