中国での産業廃棄物の不法投棄 - 2000年8月
中国では、急速な経済発展に伴い、産業廃棄物の不法投棄が広範な環境問題を引き起こしています。1999年の報告では、中国政府はGDPの約1%に相当する823億2000万元を環境保全のために投じましたが、実際には約10~15%の企業が環境基準を守らず、環境汚染を引き起こしています。特に、広東省や江蘇省などの沿岸部では、化学工業や金属精錬業の企業が主な違反者として指摘されています。
例えば、広東省では中国石化(Sinopec)を含む複数の化学工場が廃棄物を河川に不法投棄し、地元住民の飲料水源が汚染される事例が発生しています。さらに、これらの廃棄物には、重金属(鉛、カドミウム)や有機化学物質(ベンゼン、トルエン)といった有害物質が含まれており、長期的な環境および健康被害が懸念されています。これらの物質は、土壌や地下水に浸透し、農作物や家畜への影響を引き起こしています。
江蘇省の南京鋼鉄公司では、製鋼過程で発生する有毒なスラグ(製鋼廃棄物)を適切に処理せず、埋め立て地や農地に不法に廃棄する行為が確認されました。この結果、周辺の農地では、重金属が原因で作物の収穫量が減少し、健康被害も報告されています。
これらの問題に対し、中国政府は廃棄物管理法の強化に乗り出し、違法操業を行う工場に対して閉鎖命令や罰金を課しています。例えば、広東省では、2000年に環境基準を満たさない企業が50社以上閉鎖され、江蘇省でも100社以上の企業が改善命令を受けました。しかし、依然として不法投棄は減少せず、特に地方の監督体制の強化が課題となっています。
今後、中国政府は産業廃棄物のリサイクル技術の導入や、違反企業に対する更なる厳罰化を検討しており、これによって環境汚染の抑制が期待されています。
No comments:
Post a Comment