温暖化ガス排出の現状-中国-2020年代5月
2020年代においても、中国は世界最大の温暖化ガス排出国であり、2021年には約11.9ギガトンのCO2を排出しています。これは世界全体の約33%に相当し、アメリカやインドを大きく上回る数値です。中国の経済成長と急速な都市化に伴い、石炭を主力としたエネルギー消費が続いており、全排出量の約60%が石炭に依存しています。特に、河北省や山西省などの工業地域では、大規模な発電所や製鉄所が存在し、これがCO2排出の主な要因となっています。
中国政府は、2060年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げており、2020年にはパリ協定に基づき、2030年までにCO2排出をピークに達するという中期目標を設定しました。しかし、国内のエネルギー消費の約85%が化石燃料に依存しているため、再生可能エネルギーの導入は依然として課題です。
一方で、中国は再生可能エネルギーの導入において世界をリードしており、太陽光発電の導入量は世界最大です。2021年の時点で、中国の太陽光発電設備の総容量は306ギガワットに達しており、これは世界全体の35%を占めます。さらに、風力発電設備についても、総容量は328ギガワットに達しており、国内エネルギー供給の重要な一部となりつつあります。
また、電気自動車(EV)の普及も積極的に進められており、2021年には340万台以上のEVが販売され、世界最大のEV市場となっています。中国政府は、2035年までに新車販売の100%をEVやハイブリッド車とする計画を発表し、交通部門での排出削減に取り組んでいます。
しかし、エネルギー転換の速度は依然として遅れており、特に冬季の電力需要が急増する北部地域では、石炭火力発電所の新設が続いています。中国の2050年までのエネルギー計画によれば、石炭使用の段階的廃止が掲げられているものの、再生可能エネルギーへの移行には相当な時間と投資が必要とされています。
このように、中国は再生可能エネルギー導入やEV普及において大きな進展を遂げていますが、石炭依存の経済構造からの脱却がカーボンニュートラル達成への大きな課題となっています。
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