医療廃棄物のガス化溶融技術 - 2000年10月
住友金属工業が開発した医療廃棄物のガス化溶融技術は、特に病院などから発生する使用済み注射器や血液が付着した医療廃棄物の処理に特化した技術です。従来、医療廃棄物は高温焼却によって処理されていましたが、この方法ではダイオキシンや有害物質の発生が問題視されていました。そこで、住友金属工業は新たにガス化溶融炉を導入し、廃棄物を一旦ガス化し、さらに高温で溶融することで、ダイオキシンや重金属などの有害物質をほぼ完全に分解・除去する技術を開発しました。
この技術は、生ごみや汚染土壌、焼却灰にも対応可能で、通常の廃棄物処理施設では対応が難しい特殊廃棄物を効率的に処理することができます。具体的には、ガス化段階で約800~900℃の温度に加熱し、溶融炉での処理温度は1,200℃以上に達します。これにより、一般的な焼却炉では処理しきれない有害物質も完全に処理されます。
このガス化溶融技術は、医療廃棄物だけでなく、東京都や大阪府など大都市圏での一般廃棄物処理にも適用される可能性があり、特に処理能力が高く、一日あたり50トンの医療廃棄物を処理できるとされています。さらに、この技術は有害物質の排出を抑えるだけでなく、溶融された残渣はスラグとして再利用が可能で、道路建設用の資材として活用される予定です。
No comments:
Post a Comment