2024年9月20日金曜日

83-中国 ECLIPSごみ処理技術-西安・上海-2020年代-環境技術

83-ECLIPSごみ処理技術-西安・上海-2020年代-環境技術

2020年代における「ECLIPS(エクリプス)」ごみ処理技術は、中国国内で大きな進展を遂げ、特に西安市や上海などの大都市での導入が広がっています。この技術は、産業廃棄物および生活ごみの効率的な処理に適しており、次世代のごみ処理技術として世界的に注目されています。

現状と技術の詳細

- 完全封鎖処理と無害化
ECLIPS技術は、従来の埋立処理を代替する技術として都市部で広く利用されています。具体的には、西安市のプラントが1日あたり約2,000トンの廃棄物を処理しており、生活ごみや産業廃棄物をほぼ完全に無害化することが可能です。特に、重金属やダイオキシンといった有害物質を高温処理で完全封鎖し、大気や水への漏洩を防ぐ技術が導入されています。2022年のデータでは、西安市のプラントで処理された廃棄物の残渣は従来よりも70%削減されています。

- 素材の再利用
ECLIPS技術では、処理後の廃棄物を効率的に再生資源として利用します。たとえば、鉄やアルミニウムは処理過程で99%以上が回収され、再び産業用途に供給されます。上海市のECLIPSプラントでは、年間約91万トンのごみが処理され、そのうち80%が再利用されており、再利用された素材は主に建設業界で利用されています。ガラス固化技術を利用し、灰は道路舗装やコンクリートの原料として使用されており、最終的な埋立量は従来の10分の1にまで減少しています。さらに、上海ではECLIPS技術を活用して、年間約15万トンの温室効果ガス排出削減が報告されています。

- 企業とパートナーシップ
ECLIPS技術は中国環境科学研究院および西安環境技術有限公司によって開発が進められており、特に西安市のプラントが技術的な中心地となっています。さらに、上海清潔エネルギーグループは2023年にECLIPSを利用して、年間約65万トンの廃棄物を処理し、二酸化炭素(CO₂)の排出量を約12万トン削減することに成功しています。この削減量は、一般家庭約25万世帯の年間電力消費量に相当する規模です。

- 産業廃棄物処理
西安市のECLIPSプラントは、特に電子機器廃棄物の処理に注力しています。例えば、使用済みのスマートフォンやパソコンなどの電子機器に含まれる鉛、カドミウム、クロムなどの有害物質が、プラント内での高温処理を経て無害化されています。2022年には、年間約10万トンの電子機器廃棄物が安全に処理され、回収された貴金属類(銅、金、銀など)は産業用資源としてリサイクルされています。これにより、電子機器廃棄物処理のコストは従来の半分以下にまで削減され、年間約5,000万人民元(約80億円)の経済効果が見込まれています。

- 都市と数値データ
上海市のECLIPSプラントでは、1日あたり約2,500トンのごみを処理しており、年間で約91万トンの廃棄物処理が行われています。このうち、再利用された素材の割合は80%に達し、建設用コンクリートや道路舗装材料として再利用されています。上海市内のごみ埋立地への廃棄量は従来よりも10分の1に減少し、温室効果ガス削減量は年間約15万トンです。これは、年間で約30万台の自動車が排出するCO₂と同等の量です。

今後の展望
中国政府はECLIPS技術の全国展開を加速させ、2025年までに50都市での導入を目指しています。特に北京や広州市などの大都市でのプラント建設が進行中であり、これにより年間約1,000万トン以上の廃棄物処理が可能になると見込まれています。ECLIPS技術は、その効率性と環境負荷の低減から、中国国内のみならず、アジア各国やヨーロッパへの輸出も視野に入れられています。2024年にはインドネシアやフィリピンでも技術導入の契約が進行中であり、アジア全体でのごみ処理技術のスタンダードとして成長することが期待されています。

ECLIPSのまとめ
ECLIPSは、都市の大規模廃棄物処理に特化した画期的な技術です。西安市や上海市での導入による実績は、その効果を如実に示しており、産業廃棄物や生活ごみの無害化と再利用を両立させています。温室効果ガスの削減効果も顕著であり、2020年代における廃棄物処理の新しいスタンダードを確立しています。

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