地中熱利用システム - 2004年2月
地中熱利用システムは、地中の安定した温度を利用して冷暖房や凍結防止に役立てるエネルギー効率の高い技術です。特に、寒冷地や温度変動が激しい地域でこのシステムは効果を発揮しています。ミサワ環境技術が開発した「BHES」(Borehole Heat Exchanger System)は、地中約100メートルにわたって熱交換パイプを埋設し、地中熱を利用して建物やインフラの冷暖房を行うものです。
このシステムは北海道札幌市の公共施設、特に札幌ドームや、青森県弘前市の商業施設など、全国40カ所以上で導入されています。特に札幌市では、BHESを使った道路凍結防止システムが採用されており、冬季に雪や氷で滑りやすくなる道路や歩道の凍結を防止することで、年間約30%の除雪費用を削減しています。また、このシステムの導入によって、CO2排出量が年間約25%削減されており、地元自治体では環境負荷低減の成果として評価されています。
この技術は、従来の化石燃料による冷暖房に比べて大幅にコスト削減を実現しています。青森県の商業施設では、年間のエネルギー消費量を約15%削減し、約300万円の運用コストを節約することに成功しました。また、地域の地質条件に応じてシステムの規模や設置場所を調整できるため、全国各地での導入が進んでいます。
将来的には、地中熱利用システムのさらなる普及が見込まれており、東京電力などの大手エネルギー企業も、都市部での導入可能性を検討しています。エネルギーコスト削減だけでなく、温室効果ガスの排出削減に大きく貢献する技術として注目されています。
No comments:
Post a Comment