2024年9月16日月曜日

南米の違法鉱山採掘による環境破壊-1995年6月

南米の違法鉱山採掘による環境破壊-1995年6月

**南米の違法鉱山採掘による環境破壊:アマゾン地域と鉱山業の現状**

1990年代から現在にかけて、南米での違法鉱山採掘は深刻な環境破壊を引き起こしています。特にブラジル、ペルー、ボリビアに広がるアマゾン地域では、違法な金採掘が著しく増加しており、森林伐採と環境汚染の主要な原因となっています。例えば、ブラジルのアマゾナス州やパラ州では、毎年推定10万ヘクタール以上の森林が違法採掘によって失われています。これにより、アマゾンの豊かな生態系が急速に破壊されています。

違法採掘による最大の環境問題の一つは、採掘に使用される水銀の汚染です。水銀は金を抽出するために多用され、採掘現場から直接河川や湖に流出します。特にペルーのマドレ・デ・ディオス州では、違法採掘によって年間約180トンの水銀が放出され、アマゾン川流域の広範囲で深刻な水質汚染が確認されています。これにより、魚類やその他の水生生物に蓄積された水銀が、食物連鎖を通じて地域住民に健康被害を与えています。実際、2019年の調査では、住民の約80%が基準値を超える水銀濃度を示していました。

さらに、ブラジルでは大手鉱山会社のヴァーレ(Vale)が関与する違法採掘が報告されており、採掘活動の一部が規制を無視して行われています。また、鉱物資源に対する国際的な需要の増加に伴い、犯罪組織が採掘活動に関与し、違法な金の輸出が行われていることも問題となっています。特に、スイスやアメリカなどの国際市場で取引される金の一部は、アマゾン地域から違法に採掘されたものであるとの指摘があります。

違法採掘が引き起こすもう一つの問題は、地域社会の治安の悪化です。違法採掘をめぐる暴力が頻発し、地元住民や環境活動家が狙われる事件が増加しています。ブラジルのパラ州では、2018年に環境活動家が違法採掘者によって殺害される事件が発生し、国際的な注目を集めました。

このような問題に対して、ブラジル政府やペルー政府は、国連環境計画(UNEP)やその他の国際機関と協力し、違法採掘の取り締まりを強化しています。ブラジル連邦警察は2020年に約200トンの違法に採掘された金を押収し、違法な鉱山サイトを閉鎖しました。しかし、鉱物資源に対する需要が高止まりしている現状では、違法採掘を完全に根絶するのは非常に困難です。

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