2024年9月16日月曜日

インドネシアでの違法森林火災と煙害-2020年代

インドネシアでの違法森林火災と煙害-2020年代

**インドネシアにおける違法森林火災と煙害の現状:2020年代**

2020年代に入っても、インドネシアにおける違法森林火災は依然として深刻な環境問題です。主にスマトラ島とカリマンタン島(ボルネオ)で発生しており、違法な森林火災は農地開拓のために行われ、パーム油や紙パルプ産業の影響が大きいです。2020年には、約160万ヘクタールの森林が焼失し、そのうちの多くが違法な火災によるものとされています。特にパーム油産業大手の「ウィルマー・インターナショナル」や、「アジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)」などの企業が関与しているとされています。

泥炭地火災は2020年代においても依然として主要な問題であり、特にカリマンタンの泥炭地で発生する火災は、長期間にわたり燃え続け、大量の二酸化炭素(CO₂)とメタン(CH₄)を放出します。2019年の調査では、インドネシアの森林火災から排出される温室効果ガスは年間約700メガトンに達し、これは国際社会においても地球温暖化の進行に大きな影響を与えるとされています。

2020年には、森林火災による煙害(ヘイズ)が再びシンガポール、マレーシア、タイといった周辺諸国に広がり、空気質指数(AQI)が300を超える「危険」レベルに達しました。特にシンガポールでは、2020年の時点で森林火災による経済的損失が推定10億シンガポールドル(約800億円)に達し、住民の健康被害も報告されています。PM2.5と呼ばれる微細な粒子状物質が大気中に広がり、呼吸器系疾患や心疾患が増加することが懸念されています。

インドネシア政府は、2020年代に入り、国際的な圧力と気候変動に対する対策の一環として、「森林火災ゼロ」政策を掲げています。例えば、企業による火災予防策の徹底や、地域住民との協力を強化しています。特に、2022年にインドネシア政府は「ウィルマー・インターナショナル」に対して、違法火災による農地開発を行わないよう強く警告を行い、違法行為に対する罰金や事業停止の措置を取っています。

また、政府は衛星技術を活用してリアルタイムで火災の監視を行い、違法な森林火災の取り締まりを強化していますが、依然として違法火災は後を絶ちません。これには、火災を監視する地方政府の能力不足や、一部企業が規制を逃れて活動していることが原因とされています。

国際的な協力も進んでおり、国連環境計画(UNEP)やシンガポール、マレーシア政府は、インドネシア政府と共同で再植林活動や火災予防策の強化を進めています。特にシンガポールは「トランスバウンダリー・ヘイズ・ポリューション法」を施行し、外国の企業が引き起こす煙害にも法的責任を追及する体制を強化しました。

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