Thursday, September 12, 2024

川崎市エコタウン構想とゼロ・エミッション工業団地 - 1999年6月

川崎市エコタウン構想とゼロ・エミッション工業団地 - 1999年6月

川崎市は、京浜工業地帯の中心であり、化学、鉄鋼、重工業が集積する一方で、公害問題や工場の移転による空洞化が深刻だった。この状況を打破するため、「川崎新時代2010プラン」を掲げ、環境と経済の両立を目指した「川崎エコタウン構想」を推進している。その中でも、ゼロ・エミッション工業団地の整備が特に注目される。これは、地域内の廃棄物を他の企業の原料として利用し、廃棄物ゼロを目指す産業クラスターであり、1999年1月に設立された事業協同組合が中心となり運営されている。

例えば、川崎市にあるJFEスチールは、製鉄工程で発生する高炉スラグやダストをセメント産業に供給し、廃棄物を再資源化する仕組みを構築。また、富士通は電子機器製造過程で発生する廃基板を回収し、金属リサイクル業者と連携して資源化を進めている。さらに、工業団地内の中小企業では、使用済みプラスチックを原料に新たなプラスチック製品を製造するなど、各企業が互いの廃棄物を資源として活用している。

ゼロ・エミッションの目標として、廃棄物排出量を年間20%削減することが掲げられており、1999年までに10%削減が達成された。また、川崎市臨海部では、廃棄物の物流ネットワークが整備され、効率的な資源循環が実現されている点が珍しい。特に、産業廃棄物処理施設である「川崎市クリーンセンター」では、廃プラスチックのリサイクル施設が整備され、年間10万トンの廃プラスチックが再利用されている。

さらに、川崎市は、温室効果ガス削減の一環として二酸化炭素(CO2)排出量の抑制にも力を入れている。地熱や太陽熱を利用した省エネ空調システムの導入や、川崎重工業が開発したエネルギー効率の高い発電システムを導入するなど、持続可能なエネルギー利用が促進されている点も特徴的である。

川崎市のエコタウン構想は、単なる環境保護にとどまらず、廃棄物の再利用や産業間連携を通じて地域経済を活性化させる取り組みであり、その成果は国内外から高く評価されている。

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