川崎市エコタウン構想の詳細 - 2024年9月12日
2020年代における川崎市エコタウン構想は、さらに具体的かつ先進的な形で進展しています。川崎市の臨海部に位置する扇島や浮島などの地域では、産業廃棄物のゼロ・エミッションを目指して、中小企業から大企業までが協力し合い、リサイクルとエネルギー効率化を進めています。
JFEスチールは、製鉄所から発生する高炉スラグや製鋼スラグをセメント工場に供給し、セメントの原料として再利用するプロジェクトを推進しています。この取り組みによって、年間20万トンを超えるスラグが廃棄物ではなく資源として利用されています。また、JFEスチールは、製鉄工程で発生する製鉄ガスをエネルギーとして再利用することで、エネルギー効率を高め、CO2排出量を年間30万トン削減しています。
さらに、川崎市エコタウンには、富士通やNECといった電子機器メーカーも参加しており、電子機器の製造過程で出る廃基板や廃電子部品の回収を行っています。これらの廃棄物は、リサイクル業者によって貴金属が抽出され、再利用されています。川崎市内のリサイクル施設では、年間約5,000トンの電子廃棄物が処理され、再生可能な資源としてリサイクルされています。
川崎市はまた、再生可能エネルギーの利用を積極的に進めています。特に地熱エネルギーや太陽光発電を導入し、工業団地全体でのエネルギー自給率を高めています。2021年の時点で、工業団地内のエネルギー供給の30%以上が再生可能エネルギーによって賄われており、太陽光発電設備は年間約50万kWhの電力を供給しています。
このエコタウン構想のもう一つの大きな特徴は、川崎市が廃プラスチックの再利用に取り組んでいる点です。市内のリサイクル施設では、使用済みプラスチックをケミカルリサイクルにより再生し、化学原料として再利用しています。年間で約1万トンの廃プラスチックが処理されており、その大半が化学原料や燃料として再利用されています。
2022年の統計では、川崎市エコタウンのゼロ・エミッション率は90%を超え、近い将来100%達成を目指しています。また、二酸化炭素(CO2)排出削減量も年間50万トンを超えており、この成果により川崎市は国内外から「持続可能な都市モデル」としての称賛を受けています。
川崎市エコタウン構想は、産業と環境保護の調和を実現する先進的な取り組みであり、特に廃棄物のゼロ・エミッション、再生可能エネルギーの利用、CO2削減など、多方面で大きな進展を遂げています。
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