2024年9月7日土曜日

東シナ海における漁業資源減少とその影響

東シナ海における漁業資源減少とその影響

2020年代における東シナ海の漁業資源減少は、海洋汚染や乱獲が主な要因となっており、沿岸国に深刻な影響を与えています。具体的には、中国、日本、韓国、台湾が漁業権を巡って争いを続ける中、漁獲量の減少が顕著です。

1. 主要魚種の漁獲量減少
東シナ海では、アカウオ(赤魚)やスルメイカといった主要魚種の漁獲量が2010年代に比べて約30%減少しています。これらの魚種は、日本や中国の漁業経済にとって非常に重要ですが、過度な漁獲圧力により、資源が持続可能なレベルを下回っていると報告されています。特に、2022年には、漁業資源保護のために一部の漁場が閉鎖される事態にも至っています。

2. 中国による漁獲圧力
中国は世界最大の漁業国であり、China National Fisheries Corporation(CNFC)などの大手企業が東シナ海で大規模な漁業を展開しています。中国政府は、国内の食糧安全保障を維持するため、漁獲量の拡大を推進していますが、その一方で、乱獲が問題となっています。特に、産卵期にあたる時期にも漁業が行われることで、魚の再生産能力が著しく低下しており、資源の枯渇が進んでいます。

3. 海洋汚染の影響
東シナ海は、中国の黄河や長江(揚子江)から流れ込む農業用肥料や工業廃水による窒素やリンの過剰供給によって、栄養塩濃度が高まり、海洋汚染が進行しています。この栄養塩の増加は、海水中の酸素濃度を低下させ、いわゆる「デッドゾーン」を形成し、魚類やその他の海洋生物の生息に適さない環境を作り出しています。2020年代には、このデッドゾーンの拡大により、特に沿岸部での漁業が深刻な影響を受けています。

4. 違法漁業の増加
東シナ海では、違法漁業も問題となっています。特に、中国の漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)に侵入し、違法に漁業活動を行うケースが増加しており、日中間の外交問題となっています。2021年には、日本の海上保安庁が約500隻の中国漁船を取り締まったと報告されていますが、これにより日中関係がさらに緊張しています。

5. 漁業資源管理の取り組み
東シナ海での漁業資源の減少を受け、各国は資源管理の取り組みを強化しています。例えば、中国は2020年に「漁業資源保護法」を改定し、産卵期や幼魚保護のために漁期を短縮し、一部の漁場での漁業活動を制限しました。また、日本も、東シナ海での漁獲量の上限を設定し、漁業管理を強化していますが、依然として資源の回復には時間がかかるとされています。

6. 日中韓の共同資源管理
さらに、日中韓の3国は、漁業資源の持続可能な利用を目指し、共同資源管理の枠組みを協議しています。2021年には、漁獲量を規制するための協定が結ばれ、2022年には、特定魚種の漁業停止期間が設定されました。しかし、違法漁業や各国の利益衝突が続く中で、実効性のある管理が行われるには、さらなる協力が必要とされています。

まとめ
2020年代の東シナ海では、乱獲や海洋汚染、違法漁業が原因で漁業資源の減少が進んでおり、特に中国と日本の間での漁業権を巡る争いが激化しています。中国政府や大手漁業企業が乱獲対策を講じ始めているものの、問題解決には長期的な資源管理が必要です。

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