烈風の志士 ― 頭山満と国粋主義の行方(1855-1944)
頭山満(1855-1944)は、明治から昭和にかけて活動した政治活動家であり、玄洋社の指導者として日本の国粋主義を推進した。福岡藩士の家に生まれ、士族反乱の影響を受けて反政府活動に関与し、玄洋社を設立。日清・日露戦争を支持し、中国革命家の孫文を援助するなど、日本の対外進出とアジア主義を掲げた。大正時代の自由主義的な風潮の中でも政党政治を批判し、昭和期には軍部と結びつき、「大東亜共栄圏」の思想を支持。満州事変や日中戦争に賛同し、日本の軍国主義を後押しした。彼のアジア主義は反欧米的な独立運動の側面を持ちつつも、日本の侵略政策と絡み合い、戦争を正当化する思想として利用された。戦後も右翼思想の源流として影響を与え、彼の評価は分かれるが、激動の時代に大きな足跡を残した人物であることは間違いない。
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