沈黙の海に潜む毒 - 1997年10月
日本近海のシャチやゴンドウクジラから、高濃度のPCBやDDTが検出された。特にシャチの脂肪組織には400ppmを超えるPCBが蓄積されており、繁殖能力の低下や免疫機能の抑制が懸念されている。PCBは1970年代に製造が禁止されたが、不適切な廃棄が続き、海洋への流出が止まらない。一方、DDTは途上国での使用が続き、大気や海流を通じて日本沿岸にも影響を及ぼしている。
環境庁と水産庁はこの問題を重視し、海洋生物の体内蓄積データを収集するための大規模調査を開始。特定海域の汚染源特定やPCB廃棄物の適正処理の強化を進めている。また、国際機関と連携し、監視体制の強化を図る方針を打ち出した。しかし、既に海の奥深くまで浸透した汚染の影響は計り知れず、対応の遅れが生態系に深刻な影響を及ぼしている。
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